最近母がピアノを習いはじめたらしい。それを知った父もピアノをはじめたらしい。
お互いの進捗を同じ講師から比較されたり、連弾をすすめられたりするのが嫌なので別々の教室に通っているそうだ。
父は時間があるごとにピアノに向かい3か月でLet it be とMichellと(あと何かBeatlesの曲をもう1曲)簡易版ながら弾けるようになったということで演奏する動画を見せてくれた。
父は凝り性なのですぐ上手くなりそうだが、そんなことよりも、父がたどたどしくも丁寧にピアノを弾いている見慣れない姿から受けた印象と、自分は父の絵とか歌や演奏のようなその人となりが滲み出るような何かをしている様を見聞きした記憶がほぼないことへの気づきに動揺させられた。感動というのは微妙にあてはまらず快不快といえないベクトルに心がざわついた。
自分の中でこの感触は、「実家暮らしの時にたまに食べる機会のあった父の料理から受ける印象」の近場に新たなスペースが設けられ刻まれたような気がした。